汚い世界も、嘘で築かれた社会も、卑怯な自分にも嫌気がさした。









毎日毎日、耳障りな街の騒音と悪臭の中を歩き


毎日毎日、通行人のタバコの煙を吸い込んで


毎日毎日、道端で人に会えば愛想笑いをして


考えてみれば、自分が存在する意味もない。







 。 16歳  某都立高校1年生。




朝、学校に行き自分のクラスへ入れば嘘臭い笑みを浮かべた人間が居る。

薄い膜で張った様な関係。その膜はあまりに脆くて壊れやすい。

でも、実際ニコニコした善人面で笑っている私がいる。

結局自分だってこの教室にいる汚い人間となんら変わらない

高校になれば少しは状況が改善するのではないかと期待してしまった自分が馬鹿らしい。




ああ、なんて現実は残酷。





「ただいま・・・」



は家に帰りそう静かに呟いた。

家の中は静かで、以外に人はいない。

の両親は、彼女が小学校五年生の時に離婚した。

理由は簡単、父親が若い女性と浮気をしていた。

母親は怒り狂い、むせび泣き、憎しみをぶつけるかのごとくに酷く当たった。

その後母親は離婚届届けを父親につき渡し、実家に帰っていった。








リビングに行くと白い封筒が粗末に置いてあった。

私が封筒の中を見ると、一万円札が何枚か入っていた。

父親が置いてったものだ。父はあれから何年も経ったというのに懲りず浮気を繰り返していた。

家に帰ってくる事なんて、お金を置きに来る時意外は無い。

何の感情も入っていない封筒には、無駄なお金しか入っていない。

たかが小娘が使う分には多すぎるお金は、貯金として増えてゆく。

母親が出て行ってからは、自分が家事をやるしかない。

でも冷蔵庫はカラッポ。自分で料理を作ろうなんてとてもじゃないけど思えない。

自分で作った食事を一人無言で食べるなんて、虚しい気がしてならなかったからだ。

掃除だってろくにすることがない。唯一洗濯しか自分でやる事はない。






この日も、いつものように夕食を買いに近くのコンビニへ行こうとした。

いちいち着替えることが酷くわずらわしい自分は、制服のまま家を出た。

今日はやけに風邪が強くて、自分の長い髪が宙を舞う。








コンビニへ行き、お弁当とペットボトルの緑茶を買った。

家からコンビニは徒歩3分という近さで、大きな信号を渡ればすぐ着く。

片手に買ったばかりの商品が入ったビニール袋を持ち、呆然としながら信号を歩く。



その時、強風が向かい風にふいた。




「――――っ!」




空気中のゴミが目に入った。

あまりに痛くて思わず目をこすった。






「危ない!!!!」






突然声が聞こえてビクッとした。




後ろを何気なく振り返る。





すぐ目の前には大型ダンプカー。




ライトが 眩しい。




フラッシュが。




ブレーキ音、




ブレーキ音、





耳 鳴り




世界が、反転する。





空が、雲が、空気が、スローモーションに、ながれる。




空気 が  痛い





振動が、体が、硬いものに 叩きつけられる。






かたく、冷たい コンクリート。





赤い、












ぼやけて 見え る  わたし の腕





つぶれ た ペットボトル 、 お弁当。






子供 が泣き叫ぶこえがきこえる。



女の 人の甲高い悲鳴。



老人 の すすりあげて泣く、 その嗚咽。



男の人が 吐いて いる。




あ     あア







 空が ひどく きれい





あ  







ああ







さようなら


























せかい